脳神経内科医ときどき社労士

脳神経内科専門医として、頭痛や脳梗塞など身近な病気を紹介します。関係する社会保険のことも順次紹介予定!

-メニエール病・突発性難聴- 耳が聞こえないし目も回る!

こんにちは!

めまいの投稿もこれで7回目になりました。

 

めまいで病院を受診される方は、頭痛ほどではないものの、とても多く、また若い方もたくさんいらっしゃいます。

めまい診療を苦手に感じている医師も多いので、皆さん自身のためにも、めまいという症状を知っていただければ嬉しいです!

 

 

これまでは、めまいの中でも、脳神経内科に受診される病気を取り上げてきました。

 

今回は、脳神経内科に受診することは少ないものの、めまいの原因として重要な2つの病気を取り上げたいと思います。

 

1つ目がメニエール病、2つ目が突発性難聴です。

 

両方とも、耳鼻咽喉科を受診されることの多い病気で、脳神経内科医の私としては、偉そうに紹介できないので、簡単な紹介にとどめたいと思います。

 

 

 

メニエール病

おそらく、めまいといったら一番有名な病気だと思います。

でもめまいの中での頻度であれば、5%もないのではないでしょうか。結構珍しい病気です。

 

 

内耳って?

そもそも、耳は、外側から(耳たぶ側かから)、外耳(がいじ)-中耳(ちゅうじ)-内耳(ないじ)と3つの領域に分かれています。

内耳は、耳の一番奥に存在する場所ですが、さらに前庭と蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる場所に分類されています。

前庭はこれまでの投稿でも登場していますが、体の位置を感じる場所です。そして、前庭には、三半規管と耳石器の2種類が存在しました。

詳しくは、以下の投稿もご参照くださいませ。

 

neurology-kanazawa.hatenablog.jp

 

 

 

一方、蝸牛は、音を聞くための場所です。

カタツムリの形をしていることから、"蝸牛"という名前がついています。

 

 

 

内リンパ水腫:内耳にリンパ液が溜まってくる状態

さて、前庭のお話の中で、三半規管の中にリンパ液と呼ばれる液体が入っているということを紹介しました。

このリンパ液は前庭だけでなく、蝸牛にも入っています。

 

リンパ液に限らず、体の中に蓄えられている水分は、新しいものを作っては古いものを捨てていくことで、きれいに保たれています。

このようなリンパ液の流れが滞り、蝸牛や前庭で、リンパ液パンパンに溜まってしまっている状態があるのですが、"内リンパ水腫"と呼ばれます

 

そして、内リンパ水腫により諸症状が出てくる病気が、メニエール病です。

 

 

内リンパ水腫の原因は不明なことが多いですが、最近では、"アクアポリン"といって、水の出し入れに関係する"扉"の異常が指摘されています。

 

 

 

メニエール病の特徴

メニエール病が前庭神経炎と異なる点は、なんといっても"難聴"が存在することです。

内リンパ水腫は前庭だけでなく、蝸牛にも生じます。

蝸牛は音を聞くための場所であるため、蝸牛障害は難聴を生じることになります。

※なお、難聴の出ない"前庭型メニエール病"も存在するようです。

 

 

次に大切な特徴は"眼振の出方"です。

めまいの診療にとって一番大切なのは、前庭神経炎でもBPPVでも紹介した、"眼振"というものです。

前庭神経炎の場合、左右両方に存在する前庭の機能のうち、片方が障害されると、障害されていない方向に目が震える(=健側向き)という、方向一定性眼振が特徴的でした。

よろしければ、以下もご参照くださいませ。

 

neurology-kanazawa.hatenablog.jp

 

メニエール病の場合も方向一定性眼振が出現します。

ただし、前庭神経炎と異なる特徴があります。

 

それは、発症早期の場合、障害されている前庭方向に向かう(=患側向き)眼振が見られるという点です。

しかし、経過とともに、前庭神経炎と同じように、健側向きの方向一定性眼振に変化していきます。

 

 

ちなみに、めまいの持続時間は数時間ないしは1日以内が多いです。

めまい持続が短い順に並べると、以下のようになります。

めまい持続時間がわかれば、めまいの診断が行いやすくなるかもしれませんね。

 

①良性発作性頭位めまい症(数分)

②片頭痛性めまい(数分~数時間)

③メニエール病(数時間~1日程度)

④前庭神経炎(長くて2週間程度)

 

 

 

メニエール病の治療

ここは本当に、脳神経内科医の私が偉そうに話せる内容ではありません。

基本的には、リンパ液を外に追い出す治療を行います。

そのために、浸透圧性利尿薬という種類の薬を使います。

点滴であればグリセロール、飲み薬であればイソソルビドという薬です。

ただし、手術などの治療を必要とすることもあるため、そして聴力が戻らなくなり得る病気でもあるため、治療のほとんどは、耳鼻咽喉科の専門家にすべてお願いすることが常となっています...

 

 

 

突発性難聴

メニエール病より、さらに簡単な紹介にとどめます(すいません...)。

名前の通り、"耳が突然に聞こえなくなる病気"です。

原因はストレスだったり、血流の問題だったり、感染症だったりするようですが、明確なことは分かっていないようです。

 

難聴だけかと思いきや、実際は半分弱で、めまいも合併します。

なので、めまい合併の突発性難聴は、時にメニエール病と類似するようです。

 

ですが眼振の方向は、初期から"健側向き"の方向一定性眼振です。

 

急性期の治療はステロイドと呼ばれる種類の薬を用います。

 

 

 

 

今回のまとめ

①メニエール病と突発性難聴は、難聴とめまいを生じる病気です

②基本的には、耳鼻咽喉科で診療してもらいましょう!

 

 

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なんだか、モヤっとした内容になってしまいました。申し訳ないです...

ただ、めまいの話をしているのに、メニエール病が一度も出てこないのは何だかな...と思い、簡単ではありますが紹介してみました。

 

次回は、最も怖い"脳"が関係するめまいについて紹介しようと思います。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!