脳神経内科医ときどき社労士

脳神経内科専門医として、頭痛や脳梗塞など身近な病気を紹介します。関係する社会保険のことも順次紹介予定!

温めるとよくなる頭痛 ~湿布で温めることは出来るのか?~

頭痛があるとき、どうしても痛み止めを使ってしまいがちです。

 

確かに、頭痛には痛み止めが効きます。現在では、痛み止めは病院を受診しなくても、良質な薬をドラッグストアで購入することができます。

でも、次第に使用頻度が増えたり、使用量が増えたりしがちです。その結果、ひどい場合は痛み止めが効かなくなったり、痛み止めの副作用として胃や腎臓を痛めてしまうこともあります

  

そのため頭痛の頻度が多くなったり、頭痛薬が効きにくくなった時には、予防治療を行うこととなります。病院で行われる予防治療は、その多くが飲み薬を定期的に服用するというものであるため、病院に通院しなければなりません...

 

 

でも、”そこまででもないんだよな...”と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

今回と次回の投稿で、"病院に来なくてもできる、痛み止めを使わない、頭痛の治療"として、ドラッグストアで手に入る薬を使って実践できる治療や、生活習慣で改善できることについて紹介したいと思います。

 

 

 

 今回は、最も身近な"温めること"を中心に紹介します。

 

 

温めるということ

 

頭痛の中でも、最も多いとされる"緊張型頭痛"ですが、緊張しているのは”筋肉"と紹介しました。頭痛が関係する、筋肉の緊張として最も多いのが、"僧帽筋"といって、 首筋~肩、そして背中に広がる大きな筋肉があります。僧帽筋の緊張が、いわゆる"肩こり"です。肩こりといっても、肩だけの場合や首筋が痛い方もいらっしゃいますが、いずれにせよ"僧帽筋の緊張"です。

この肩こりは、緊張型頭痛だけでなく片頭痛の場合も誘因とされています

 

頭痛の大部分は、緊張型頭痛+片頭痛で占められています。

そのため、肩こりを改善させることは、頭痛の治療にとって、とても有効な手段となります。

 

実際に、肩こりをよくするため、病院では、筋緊張を和らげる飲み薬を使用することが多いです。しかし、このような薬を使って頭痛が良くなっても、肩を触ったら、いまだに肩が強く張っているということは多いです。

 

そのため、生活スタイルとして、体を温めて外からも筋肉をほぐすことは、とても大事になります。なお、筋肉をほぐすという点で、鍼灸やマッサージ指圧などを取り入れることも、とても効果的と思われます。

 

 

 

湿布で体は温まるのか? 

 

腰が痛かったり、足が痛かったりするときに、湿布を使う方は多いと思います。

 

湿布は、大きく分けて、"温かく感じる"湿布(温シップとよばれます)と、"冷たく感じる"湿布(冷シップとよばれます)の2種類があります。

 

温シップは、カプサイシンといって、唐辛子に入っている成分を用いることで、温かく感じるようになっています。一方で冷シップはメントール(メンソール)といって、ガムなんかにも入っている、"スースー"する成分を用いるようになっています。

 

なので実際には、湿布で皮膚の温度が温かくなったり冷たくなっているわけではなく、"温かい"とか"冷たい"とかの感じ方だけなんです。

例えば、"冷えピタ"という、こどもが熱を出したときにおでこに貼ったりする薬、あるじゃないですか。あれも、冷たくて気持ちよく感じますが、熱は下げることができません(実際には局所の消炎は出来るので表面は冷たく感じるかもしれませんが)。

 

 

両者の湿布には、"消炎鎮痛剤"といって、貼った場所の痛みや腫れを取り除く成分が入っています。なので、痛いときに貼る湿布は、個人の感じ方次第ということになるので、どちらでもOKです。

 

肩こりがあって、そのために頭痛がある、という場合、一定レベルの筋肉の炎症が存在します。そのため、頭痛に対して湿布が効果的です。そして、首筋~肩の筋肉(僧帽筋といいます)に貼るとよいかと思います。

 

 

なお、カプサイシンは筋肉の緊張をほぐす効果があるので、頭痛に対して使用する場合、特に肩こりが関係する緊張型頭痛や片頭痛の場合は、温シップの方がよいとされています。

ただし、温シップは冷シップに比べ、その刺激性から、皮膚に合わないという方が多くいらっしゃいます。そのため、頭痛に湿布を用いる場合、無理に温シップにこだわらず、冷シップでも大丈夫です。

 

 

ちなみに、"出来たばかりの打撲"は冷やして、"ずっと続いている痛み"は温めて、と言われます。これを湿布で代用することは残念ながらできません。なので、冷やさなければいけないときは氷や水を使い、温めなければいけないときは温水を使うほうが効果的です。

 

 

以上で、今回のおはなし、"温めるということ"の紹介を終わります。

今回のまとめ

①一般的な頭痛は温めたほうがよい!

②湿布には温める効果がないけど、炎症や痛みを抑えてあげるためには効果的!

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

次回は、頭痛に対して漢方ができることを紹介する予定です!