-緊張型頭痛- 頭が痛い... というよりも重くて、だるくて、時々締め付けるような...
緊張型頭痛は、おそらく日本人に最も多い頭痛です。
ですが、片頭痛に比べると頭痛の程度が軽く、そこまで日常生活に多大な影響をおよぼさないためか、病院を訪れる方は、片頭痛に比べそこまで多くはありません。
まずはじめに言いたいこと
まず最初に、強調したいことがあります。
それは、"緊張性頭痛"と誤って診断される、"ホントは片頭痛"がとても多いということです!!
肩こりがある、とか首が痛いとか、、そして頭痛がある、といったとき緊張型頭痛という診断が下ることがとても多いんです。
実際、緊張型頭痛は、肩こりを伴う頭痛であることは事実であり、"肩こり頭痛"などとも呼ばれたりします。また、片頭痛は"片方の頭痛"という名前のためか、右も左も頭痛があるときには、"片頭痛ではない"と誤解される方がいます。
このような事情があるために誤診が多いのかもしれません...
しかし、片頭痛でも両側に頭痛がある方はたくさんいらっしゃるし、肩こりや首の痛みを自覚する片頭痛はむしろ多数派です。
このような事情から、特に"日常生活に支障をきたすような頭痛"の方を診察する場合、片頭痛の特徴となる症状がないかを細かく聴いていき、どうしても片頭痛と診断するための要素がない場合に限り、"緊張型頭痛"という診断を下しています。
なお、片頭痛らしさは、”感覚過敏性"ということを意味しており、その症状としては、嘔吐・吐き気や光・音などの過敏性が代表的です。
詳しくは、別の記事でも紹介していますんで、ご参照くださいませ。。
neurology-kanazawa.hatenablog.jp
緊張型頭痛とは
それでは、緊張型頭痛の一般的な内容を紹介しようと思います。
一言でいえば、緊張型頭痛とは筋肉の緊張です。
頭蓋骨は筋肉に取り囲まれているため、前でも後ろでも緊張型頭痛が出現します。
肩こりが原因となることが多いため、後頭部に強い頭痛となることが多いです。
その他、眼精疲労が原因になる場合など、前頭部や側頭部にも頭痛が強く出現します。
主に、夕方(つまり疲れやすい時間)に悪化することが多く、良くなったり悪くなったりと、一日の中で変動しますが、寒暖差が強い場合などに、急激に発症するタイプもあります。
中には“後頭神経痛型”といって、後頭部などに“電気が走るような”痛みが伴うこともあります。これは、筋肉の緊張により頭皮の神経が締め付けられることによって生じます。
さらには、“ふらふらする”めまい感を伴うことも多く見受けられます。
緊張型頭痛の三大原因は、以下の通りです。
①ストレス
②姿勢が悪い
③運動不足
といっても、これらの原因は片頭痛の原因とも共通しているので、片頭痛と区別するための情報、という点においては、それほど大事ではありません。
特に、姿勢の悪さは、パソコンや携帯電話を長時間使う、長時間の運転といったことが、原因になっていることが多く見受けられます。
他に、膝が悪いとか、腰が痛いといったことから姿勢が悪くなり、緊張型頭痛を発症することもあります。さらに、副鼻腔炎(蓄膿)や歯疾患も原因となることがあります。
緊張型頭痛の治療
誘因の除去が主体になります。薬の治療も行うことがあり次のようなものがあります。
痛みをとる薬
カロナールやブルフェンを使うことが多いです。ただし、片頭痛に比べ鎮痛薬が効きにくい方が多いようです。
筋肉の緊張をとる薬
エペリゾン(商品名;ミオナール)やチザニジン(商品名;テルネリン)、エチゾラム(商品名;デパス)、ジアゼパム(商品名;セルシン、ホリゾン)といった薬を使います。眠気が出るため、少量から増やしていきます。他に、漢方薬(葛根湯<かっこんとう>や呉茱萸湯<ごしゅゆとう>など)が効果的な場合もあります。
他に、痙性斜頸(けいせいしゃけい)と呼ばれる病気が隠れている場合もあります。簡単に言えば、首がまっすくを向いていない状態です。
この場合、ボトックス治療といって、筋肉の緊張を注射薬で取る治療を行うことが多いです。他にトリヘキシフェニジル(商品名;アーテン)などの飲み薬による治療を行う場合もあります。
最後に
最初のほうで、緊張型頭痛は、日常生活にそれほど影響を及ぼさないと紹介しましたが、やはり四六時中、頭がだるいのは辛いものです。
特に、市販されている頭痛薬が効きにくいことが多いので、飲みすぎて副作用が出る前に、気になる場合は、やはり早めに病院を受診した方が良いかもしれませんね...
と、いろいろ書いてみましたが、やはり結局言いたいことは、"片頭痛が除外できて初めて緊張型頭痛の可能性を考える"ということです。
これで、一次性頭痛の代表格である、片頭痛・群発頭痛・緊張型頭痛の3種類を紹介しました。
今後は、ちょっと変わり種も含め、いろいろと紹介していこうと思います。
今回も最後まで、読んでいただき、ありがとうございました!!