脳神経内科医ときどき社労士

脳神経内科専門医として、頭痛や脳梗塞など身近な病気を紹介します。関係する社会保険のことも順次紹介予定!

-パーキンソン病- 動作が遅くなった...もしかして病気? 

今日は、”動作が遅くなった”、というときにどのような病気を考えるのか、ということ紹介しようと思います。

 

 

歩くのが遅くなった、、といっても"老化現象かな"と考える方は多いでしょう。

しかし、病的に"歩くのが遅くなった"ということもあるのです。

別に手足に麻痺はないのに、骨折とかをしたわけでもないのに、なのに年々歩けなくなっている...という状態です。

 

 

 

パーキンソン病について

実際は、このような症状を生じる病気はたくさんあるのですが、その中でも代表的な病気として、"パーキンソン病"という病気があります。名前だけは聞いたことがある、とう方もいらっしゃるのではないでしょうか。最近では芸能人の.みのもんたさんがパーキンソン病であるというニュースを聞いたことがありますし、ボクシングのモハメッド・アリさんも有名かもしれませんね。

 

このパーキンソン病という病気、実際はかなり患者さんの数が多い病気なんです。日本では、1000人に1人の割合でパーキンソン病を患っているとされています。そして、高齢者で発症しやすい病気であるため、高齢化の影響で、年々患者さんの数が増えており、今後はさらに増えてくることが予想されています

 

 

パーキンソン症状について

最初に紹介した、動作が遅くなったという症状、医学用語では"動作緩慢(どうさかんまん)といいます。パーキンソン病では、動作緩慢の他にも、次のような症状が出てくることが知られています。

 

安静時振戦(あんせいじしんせん):体を動かしていないときに手足がふるえてしまう

筋強剛(きんきょうごう):関節が硬くなる

姿勢反射障害:体のバランスが崩れたときに姿勢を元に戻せないため、転びやすい

歩行障害:歩幅が小さくなったり、止まろうと思っても止まれなくなってしまう

 

このような、パーキンソン病で出現する症状のことは、まとめて"パーキンソン症状"と呼ばれます。

 

ところで、パーキンソン症状を引き起こす病気はパーキンソン病だけではありません。

他には、薬が原因で生じる場合や、小さな脳梗塞がいっぱい集まって生じる場合、その他にも、多系統萎縮症など、とても珍しい病気でも、パーキンソン症状を生じます。

 

今後、詳しく紹介していきますが、パーキンソン症状を生じる病気について、パーキンソン病と、パーキンソン病以外の病気で大きく違う点があります。

 

それは、パーキンソン病にだけ、よく効く薬がたくさんある、ということです。

パーキンソン病という病気、実は国で指定されている"難病"という種類の病気なんです。難病ときくと治療が出来ないというイメージがあるかもしれません。

しかし、パーキンソン病に限っては、いろいろな治療の選択肢があり、その結果、特に発症してから5年程度は、不都合なく生活することが可能となりえます。

 

それでは、本日の紹介はここまでとしたいと思います。

ありがとうございました!