脳神経内科医ときどき社労士

脳神経内科専門医として、頭痛や脳梗塞など身近な病気を紹介します。関係する社会保険のことも順次紹介予定!

吐き気がある頭痛

 頭痛にあわせて、吐き気もある方は多くいらっしゃいます。では、なぜ吐き気が出てくるのでしょうか。理由は主に2つあります。

 

 

感覚過敏性 

1つ目は、感覚過敏性があるから。頭痛で感覚過敏性があるために吐き気が出る代表的な病気が"片頭痛"です。

たとえば虫歯があると強い歯の痛みを生じます。これは虫歯のせいで、歯に通っている神経が表面に出てきているために、外からの影響を受けやすくなってしまうからです。このように痛みに過敏な状態は、感覚過敏と呼ばれます。

 

しかし感覚は痛みだけではありません。光を感じということは"視覚"という感覚であり、においを感じるということは"嗅覚"という感覚です。これらの感覚が過敏になってもやはり感覚過敏と呼ばれます。そして、"左を向いたとか、右を向いたとか、体が傾いたとか、、"ということを感じることも、感覚なので、感覚過敏を生じることがあります。この感覚は、主に耳の中にある"三半規管(さんはんきかん)"とよばれる場所が担っています。。

 

ところで、車酔いしやすい方っていますよね。他にも、船に酔いやすいとか、ジェットコースターに乗ったら吐いてしまうとか。。これは、"三半規管の感覚過敏"と言ってもよいかもしれません。

 

では、普段の生活で、"三半規管の感覚過敏"が生じたらどうなるでしょうか。その場合、吐き気が出現します。片頭痛の一番の特徴が、感覚過敏性も一緒に出てくることであるため、頭痛に伴い吐き気が生じることになります。片頭痛の感覚過敏性は他にも、"光過敏"や"におい過敏"など多岐にわたります。

 

 頭蓋内圧亢進

頭痛に伴い吐き気が出現する2つ目の理由、それは"頭蓋内圧亢進"です。

頭蓋内圧とは、頭蓋骨の中の圧力を意味します。頭蓋骨は変形することはないため、膨らんだりすることはありません。そんな頭蓋骨の中には、脳があります。では、脳の中に出血が起きたり、腫瘍が出来たりするとどうなるでしょうか。その場合、脳の体積が大きくなります。しかし周りの頭蓋骨は膨らむことができまいため、頭蓋骨の中がパンパンに張りつめてしまいます。

このような状態を頭蓋内圧亢進と呼びます。そのため、これが原因で吐き気が生じる頭痛は"危険な頭痛"と言えます。

 

さらに動脈解離といって血管が破れる病気や、小脳という場所に病気が出来たときなど、吐き気を伴う頭痛は他にもあります。このような場合、じっくりと診察をしたり検査をしたりして診断を決定していきます。

 

 

以上で、吐き気がある頭痛についての紹介を終わります。

今後は、それぞれの頭痛の詳しい紹介もしていきたいと思っていますので、よろしくお願いします!